カリフォルニア大学サンディエゴ校Zukerらのグループは、T1Rファミリー(味覚受容体ファミリー)の2種類のG-タンパク質共役受容体(T1R1, T1R3)をヒト培養細胞に同時に発現させることによって、アミノ酸に対する応答が見られることを報告した。
マウスにおいては、この受容体は甘味を呈するアミノ酸を中心に広く応答し、この応答はイノシン酸(IMP)の存在によって増強された。ヒトの受容体を発現させた場合には、グルタミン酸とイノシン酸が共存したときにこの相乗効果は最も顕著であり、このことからヒトにおけるうま味の受容がこの系(T1R1+T1R3)で起こる可能性が示唆された。
ただし、この受容体はこれまで報告されてきた味覚の代謝型グルタミン酸受容体mGluR4に比べると味物質に対する応答性が広く、味覚のグルタミン酸受容体と呼ぶよりは、うま味物質を含むアミノ酸の味に応答する受容体と位置づけられるであろう。