研究会について

うま味研究会は、1982年にうま味の研究に興味を持つ科学者たちによって設立されました。うま味研究会が主催するパネルディスカッション、講演、ワークショップ、フォーラムにより、世界中でうま味研究への関心が大幅に高まりました。また、これらの活動を通じて、生化学、味覚生理学、食品科学、栄養学、脳科学などの分野でうま味に関する数多くの科学的データが蓄積されてきました。

うま味研究会の成果には、うま味に関する2つの国際シンポジウムの開催も含まれます。

最初のシンポジウムは1985年にハワイで開催されました。そこで、「うま味」という用語がグルタミン酸ナトリウムや5′-ヌクレオチド、イノシン酸、グアニル酸などの化合物によってもたらされる独特の特性を表す科学的な用語として初めて国際的に認知されました。このシンポジウムの議事録は、1987年に「Umami: A Basic Taste」というタイトルの本としてニューヨークのMarcel Dekkerによって出版されました。

うま味に関する第2回国際シンポジウムは1990年にシチリアで開催されました。議事録は、1991年に世界をリードする科学研究雑誌の一つである「Physiology & Behavior」の特別号に掲載されました。

この共通のテーマについて世界中からさまざまな分野の科学者が集まり、データやアイデアを自由に交換するこのシンポジウムのユニークなスタイルは、さらに多くの科学者の注目を集め、うま味に関する世界的な研究活動を促進しました。

1993年、1997年、2000年、2004年には、嗅覚・味覚国際シンポジウム(ISOT)の期間中に、うま味に焦点を当てた特別シンポジウムが開催され、100人以上の科学者がシンポジウムに参加しました。2008年には、うま味発見100周年記念シンポジウム(SRUTシンポジウム)と国際うま味発見100周年記念シンポジウムが東京で開催されました。サンフランシスコで開催されたISOTでは、うま味に関する2つのシンポジウムが開催されました。2012年にストックホルムで開催されたISOTでは、「うま味の好み」と「口腔と腸の栄養センサー機能の統合」に関する2つのシンポジウムが開催されました。

うま味研究会はうま味について、および、うま味が生物の健康に与える意義についての学際的な調査研究を支援しています。また、特に若手研究者の研究について力を入れて援助しています。私たちは、これらの活動が味覚の科学のさらなる発展につながると信じています。

うま味研究会は、ユニークで重要な基本的な味の性質についてさらなる研究と議論の機会を奨励し、研究活動の継続を期待しています。

うま味研究会 会長 坂井 信之